鹿児島(T様)邸の紹介






(T様)2年くらい前ですかね。家が古かったことと、敷地面積が広かったので、リフォームするよりも建て替えたほうがいいかなっと思いまして。
(T様)他のところでも検討していたんだけど、色々考えた結果、やっぱり田畑さんにお願いしようということで(笑)
(株式会社栞・田畑さん)実は、他の設計事務所が入っていまして、施工の入札の段階だったんですね。そこで、私たちも参加しますってことで、ちょうど入札の時期が、消費税アップの時期で、いろんな業者さんから出された金額が予算よりかなり高かったりして、うちが、なんとかしようということになりまして、平成25年の12月にまず解体から始めました。
(T様)自分の要望がたくさんあったんですね。他の業者が出来ないことを田畑さんは親身になって色々してくれたんですね。異常なくらいたくさん叶えてくれたんです(笑)
(T様)石が好きで、どうしても大理石を使いたかったんです。他の業者では、予算内に抑えるためには、大理石に似たものを使いましょうってことだったんですけど、田畑さんはそれは勿体ないってことで、一生懸命探してくれて本物の大理石を使ってくれたり。
(T様)きっと私より田畑さんの方がこだわりが強かったんでしょうね(笑)
あと、要望と言えば、2階にお風呂をつけたくて。ガラス張りにして桜島や外の景色を楽しめるように田畑さんがお風呂の位置を考えてくれて。高台で眺めがいいので眺望を生かした作りにしてくれました。
(株式会社栞・田畑さん)眺望を生かすためといって、角部屋にガラス張りのお風呂をもってくるんじゃなくて、女性なので、外からの視線が気になると思いまして、吹き抜け越しにワンクッションおいて外を見られるように設計しました。だから、吹き抜けの窓はわざと大きくとってあるんです。
※左の窓側がお風呂。人目を気にせず吹き抜け越しに美しい景色を眺めながら優雅な時間を…
(T様)田畑さんがこだわった基礎蓄熱暖房がいいんでしょうね。寒さは全く感じません。大理石だと冷たいイメージですけど、冬も全然暖房器具を使わないですよ。電気代も3分の1くらいまで減りましたよ!
(株式会社栞・田畑さん)T様邸を建てて一番驚いたのは、この「暖かさ」ですね。1月の寒い時期でエアコンをつけずに、室温を25℃くらいに保っていますもんね。もちろん、家の性能にはこだわって、深夜電力を使う基礎蓄熱暖房で床下をあたためているんですが、改めて家にお邪魔して暖かさを実感しました。
基礎蓄熱暖房もそうなんですが、断熱性をあげて無駄の少ない家を作ろうというのが根本にあります。断熱材にもこだわっていてアップルゲートのセルロースファイバーを使っているんですけど、これが大正解でしたね。この断熱材はシックハウスの原因を排除してくれたり、防火、防音、防カビなど優れた機能をもっているんです。断熱材って見落とされがちですが、断熱材にきちんと目を向けることで、暮らしの快適さは全く変わってきますし、家も長持ちします。
(T様)最初から感じましたね。夏から冬に季節が変わると、外の温度はどんどん変化するけど、家の中はいつも一定なので。
(株式会社栞・田畑さん)大理石の家って冬場寒さに耐えられないことが多いんです。冬に寒い家は快適とは言えないですよね。石でも寒くない家をと思っていたので、試行錯誤した末、一番シンプルにコストもあまりかからない基礎を暖める方法を使いました。
※株式会社栞の家づくりアドバイザー田畑さん※
(株式会社栞・田畑さん)大理石をここまで使うってことは通常なかなかありませんよね。使っている大理石も、ホテルとかで使われているような良いもので、厚みも2センチ。大判で柄もあわせられたりするものはなかなか無いんです。探しまわってたまたま手に入って、金額もびっくりするくらい安くて。この出会いがあったから本物の大理石を使って予算内で建てることが出来たんです。奇跡みたいなものです。
大理石が本物ではなかったら、(T様)の夢に描いている家ではないので、出来るだけ叶えてあげたいなという気持ちがありましたから。
(T様)私自身、木のナチュラルな雰囲気があんまり好きじゃなかったので、木目のものは使いたくなかったっていうこだわりがあって。でも、仏間は必要なので、雰囲気に合った和室にしてもらってすごく気に入っています。畳もグレーでいろいろ考えてこだわっています。あと、母の部屋だけは、母の希望で木を使っています。
※唯一の和室も大理石に合うグレーの畳でシックに
※お母様の部屋はフローリングに
(T様)なんとか工夫して作ってくださいました。普通は面倒くさくてやってくれないことを、田畑さんは細かく聞いてやってくれるんです。
(株式会社栞・田畑さん)大変でした…(笑)ダイニングテーブルの石は、バリ好きの知り合いにお願いして、バリの大理石を輸入してもらって。他にもモザイクタイルなどいろんな石を使いました。出来上がればきれいなものですけど、裏では大変な努力があるんですよ(笑)
(T様)の家に対する要望はすごくたくさんあったんですけど、そのために頑張って働くっておっしゃっていたので、作る側にも(T様)の気持ちは伝わっていました。なんとか仕上げたいし、ここまで大理石にこだわった家というのは無いので、私たち作り手としてもチャンスですし、最高に格好良くて、住みやすい家を作ろうと思っていました。
(T様)田畑さんも自分が住むような感覚で細かいところまで一生懸命やってくれて感謝しています。
(株式会社栞・田畑さん)ちょうど消費税が上がる前で資材の値段が上がっていましたし、職人さんの確保が大変でした。
(T様)もともと、当初の予算通りでしか無理ですよっていうのが条件だったので、予算を超えても大丈夫ですかっていう話は無しだったんです。
(T様)ほんと奇跡なんでしょうね(笑)
家を建てるってこんなに大変なんだって思いましたよ。でも田畑さんが一生懸命やってくれたから自分も毎日気にかけて現場を見に来たりとか。私自身もいろんなものを勉強してきていたので、大体相場も分かっていたので、田畑さんは私以上に大変だっただろうなと思います。
※ダイニングの壁には
モザイク大理石を貼りアクセントを
(株式会社栞・田畑さん)(T様)邸は石をメインに考えようということで、基本的には室内は床も壁も大理石、モザイクタイルは石灰岩。2階はさすがに石は荷重がかかるので、違う石に近いタイルを貼っています。
(T様)自分の生活スペースを2階に、1階には母の生活スペースと分けて考えたかったので、2階にお風呂もトイレもありますし。私が仕事で夜遅かったりすると、以前の家では、お風呂の音で母が起きてしまわないかいつも気を遣っていたので、新しい家では、そんなストレスも感じないように2階のお風呂の位置は母の部屋の上にはこないように考えてくださいました。自分の要望がどんどん実現していきました。
(T様)音に関して本当にびっくりしています。うちは高台にあるので、風とか雨が家に直接吹きつけるんですね。それが新しい家では「雨が降ってた???」って思うくらい外の音に気づかないんです。すばらしいですよ。
(T様)の母)外に置いているものが、風であちこち移動しているくらい風が強い日でも家の中に居たら全然わかんないもんね。
(株式会社栞・田畑さん)音に関しては、ペアガラスを使って気密性をあげているので、音は聞こえないだろうとは思っていたけど、ここまで静かとは思わなかった。
(T様)音の問題って大事ですよね。
((T様)の母)娘がお風呂に入っていても全く気にならなくなりましたね。暮らしやすいですよ。
(T様)家づくりは本当に大変で辛いときもあったけど、今は仕事へのやる気にもつながっています。ローンを返していかなきゃいけないので仕事も頑張らなきゃいけないんですけど、毎日の生活が落ち着いて心地よければ、いろんなことが良い方向へと向くような気がします。思い切って建て替えて良かったなと思います。
(T様)大変だからこそ楽しみは生まれると思います。自分が造りたいものを設計士さんに伝えると願いは叶うんじゃないかな。ただ造るよりも、ここはこうしたい!っていう言ってみるもんですよ。1つ1つ何でも素材にしても言った方がいいかな。私も自分の足で色々見に行ったり、本を見たりして自分の造りたいものを明確にしていきました。そこまでしたら満足できる家ができるんじゃないかな。自分も参加している感じがないとダメでしょ。
(株式会社栞・田畑さん)今は既製品を当てはめていく家づくりもありますので、一からオリジナルで建てていくのは、すごく力がいることなんですね。でも、私ももともと設計事務所もやっていますし、お客様の要望を可能な限り満たしていくことを目指しているので、出来る要望は聞いて出来ないものは新たな提案をしていきます。
(T様)の場合は石を東京まで買いに行って、雪の降る中、貨車で運びましたよ(笑)やっとの思いで買いつけました。いっぱい思い出がありますよ。壁に関しても、一つ一つに思い出だらけですよ。ずっと一緒に施工してきましたからね。そしてこれから一生住む家ですからね。
(T様)あの苦しみがるから今幸せなんですね(笑)
今回の取材を通して改めて感じたこと。
みなさん、家づくりには「物語」があります。家を建てた人たちそれぞれがもつ物語。そのストーリーは様々で、家族の絆、人との出会い、時には喧嘩をしたり、たった一つの素材を探すのに日本中を回ったり、その時は、「大変すぎてもう嫌だ」って思う瞬間もあったかもしれません。しかし、良い家を作るためにはすべてが必然だったのだろうと私は思います。
※取材中の(T様)、お母様、田畑さんの
笑顔が良い家を物語っていました※
(取材日:2015年1月)
家を建てた人にしか持つことの出来ない「物語」。そして、この物語はこれからも、世界に一つしかない1冊の本としてずっと、その人たちの心の中の本棚に大切に置かれることでしょう。
私も、祖父母が遺している田舎にある空き家を、生きる家として建て替えられたらな。そして、私の家族と祖父母、両親みんなの思いを繋ぐ新たな物語を描けたらなとしみじみ思うのであります。